専門家の声

阪口雅弘

東京環境アレルギー研究所 所長
麻布大学名誉教授

阪口雅弘

厚生労働省・アレルギー疾患予防治療研究事業の研究代表者を務めるなど、これまでにアレルギー予防研究を長年にわたり行ってきました。

経歴:東京大学医科学研究所・助教、ラホヤ・アレルギー免疫研究所(米国)・科学技術庁長期在外研究員、国立感染症研究所・主任研究官、理化学研究所免疫・アレルギー研究センター・チームリーダー、麻布大学・教授等を経て2021年4月より現職。
学術論文 : http://www.itea.jp/company-2/advisor/academic_papers (外部サイト)

これまで長年にわたり、研究機関や大学でアレルギー疾患の原因となるアレルゲンの研究を行ってきました。
室外アレルゲンとしてはスギ花粉アレルゲンを、室内アレルゲンとしてはダニやペットアレルゲンを中心に、アレルゲン解析および測定法の開発に取り組んで来ました。そしてこれらの研究により、様々なアレルゲン量を定量化することが可能になりました。このような研究成果として環境中のアレルゲン量を減らすことにより、アレルギーの症状を軽減し、さらにアレルギーの発症を予防することが可能になってきました。すなわち、これらの測定法の確立により、アレルゲン暴露を減らす様々な対策の客観的な評価が可能になったわけです。これまでに蓄積された我々の技術を社会に還元するためにITEA(東京環境アレルギー研究所)では、これらのアレルゲンの解析・定量技術を用いて様々なアレルゲン暴露量の削減に向けた対策の評価を行っております。

喘息の原因はダニ

ダニは喘息を引き起こす重要なアレルゲンと言われ、特に小児喘息の90%以上が家庭内に存在するダニアレルゲンが原因で発症するとされています。これまでの国内外の学術研究において床などに存在する量よりも、寝具にダニアレルゲン量が多いことが明らかにされている。布団は温度、湿度、餌というダニの繁殖に適した条件が整い、ダニの温床になっていたと考えられている。

ダニ対策は寝具から

ダニアレルギー対策として積極的な室内環境改善(ダニアレルゲンの回避)はアレルギー症状軽減に効果があると報告されている。海外でもダニアレルギー対策として室内環境改善が行われている。空気中のダニアレルゲンの大半が、布団を含む寝具由来であることが分かりました。そのため、色々なダニアレルゲン対策を行うより、重点的にアレルゲン管理を実施することが効果的な対策と考えられる。

ダニのいない寝具の効果

ダニのいない新しい布団に替えた時の家庭内の個人ダニアレルゲン暴露量の減少を調べました。6人の成人が帰宅後から翌日の朝、家を出るまでの間、個人サンプラ−を携帯し個人のアレルゲン暴露量を測定しました。図に示すように古い布団から新しい布団に代えると、暴露されるダニアレルゲン量は全例で大きく減少することが分かりました。この研究成果はアレルギー研究で最も権威がある米国アレルギー学会誌(J. Allergy Clin. Immunol.)に発表され、家庭内のダニアレルゲン暴露のメカニズムを解明する重要な研究成果となりました。
布団を新しくするこよとによるダニアレルゲン暴露量の減少効果のグラフ

ダニのいない寝具の製造

生地はふとん側、カバー類ともに綿100%の特殊高密度織物を使用しています。 これまでの研究において体長0.3mmのダニだけでなく、その卵や幼虫も通しません。また、殺ダニへの効果を考えれば、何等かの化学物質を使用するのが一般的だと思いますが、特殊高密度織物の生地で 寝具へのダニの侵入を防ぐこと自体が利用者の安全面からいえば、非常に素晴らしいことなのだと思います。特に布団表面に針孔がない事が更に望ましいと考えます。
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